労働組合の大事な権利「ストライキ」!!

[コラム] 2016/11/10

皆さん、「ストライキ」にどのようなイメージをもっていますか。客のことを考えない迷惑な行為でしょうか。一部労働組合の古くさい遅れた行為でしょうか。そもそもストライキって何、まだそんなの日本にあるの?でしょうか。実際、日本では、1974年に年間9581件あった争議行為(ストライキ)は、2013年には年間71件までに減少しています。ストライキに馴染みがなくなったのも無理はありません。

しかし、ストライキは憲法28条で保障された労働組合の権利であり、労働者の労働条件を守り、引き上げるための大事なものです。ストライキによって損失を与えることを示すことで、労働組合の交渉力に強い力を与えます。実際、日本ではストライキが減るのと歩調を合わせるように、製造業の労働分配率は低下し(1975年は43.5%、2012年は35.2%)、実質賃金も下がり続けています。労働組合が、いざとなればストライキで闘うことができなければ、労働者の労働条件を上げることは難しいのです。

以上のストライキ権の重要さを端的に示した判決があります。私も弁護団に参加した日本航空更生管財人不当労働行為事件です。この事件で、東京高裁は、「争議権の確立は、労働組合が会社と交渉する際に、会社との対等性を確保するための有力な対抗手段」であり、「労働組合にとって最も根幹的な権利」のひとつであると述べ、会社が「争議行為を阻止したいのであれば、労働組合が求めるところを踏まえて、労働組合との間で何らかの妥協を図るしかない」と判示したのです(東京高裁判決2015年6月18日労働判例1131号72頁)。

日本労働弁護団では、本年10月27日、「労働組合・労働弁護士のためのストライキ実践講座」を開催し、会場いっぱいの約100人の方にご参加いただきました。雇用の質が悪化している今だからこそ、ストライキの重要性は見直されなければなりません。今後もこのような取組みを続けていきます。

 

弁護士 竹村和也