1.25東京支部総会と東京地裁・高裁検討会の報告

[News] 2017/01/30

『東京支部総会』、『東京地裁労働部・東京高裁の現状と問題点を検討する会』が行われました。

去る2017年1月25日、連合会館にて、東京支部の第5回総会と東京地裁労働部・東京高裁の現状と問題点を検討する会が行われました。

日本労働弁護団東京支部は2013年2月に設立して満4年になります。総会では、井上支部局長によるあいさつの後、指宿事務局長による活動報告、今後の活動予定などの報告が行われました。

引き続いて、東京地裁・高裁労働部の現状と問題点を検討する会が行われました。

最初にこの1年間の東京地裁の労働事件の裁判例70件ほどについて、争点ごとに特徴的な裁判例を紹介しつつ、全体的なおおよその傾向などについて報告がなされました。

各裁判例をまとめた一覧表を参照しつつ、今年はどんな争点についての裁判例が増えたか、労働者側敗訴が続いている、あるいは、勝訴が続いているような争点はどのようなものか、などの報告がなされました。

普通解雇や懲戒解雇などの解雇事件が多いのは例年通りでしたが(勝ち負けは半々くらい)、以前はほとんど負け判決ばかりだった印象のある雇止めで、いくつか労働者側勝訴の判決が出始めている事(それでも雇止め全体では労働者敗訴の方が多い)、今年は定年再雇用や年休・育休の判決がいくつも出るようになったこと(しかも労働勝訴!)、休職期間満了による自動退職・解雇、配転出向、降格などでは労働者側敗訴が多く苦戦している事など、報告されました。

その後、個別報告が5人の弁護士よりなされました。

東京地裁の不当判決、東京高裁の不当判決がなされた事件の担当弁護士からの報告で、富士美術印刷(フジビ)事件、長澤運輸事件、日本電機事件、ネギシ事件、国際自動車第2次訴訟などが取り上げられました。今年は、単に東京地裁の不当判決だけでなく、東京高裁の不当判決に焦点をあて、それぞれ判決の問題点など報告してもらいました。

通常はそれぞれの判決1つで1時間から2時間は優に議論できるところを各10分程度の報告でお願いしたので、ほんとうに不当判決のポイントを凝縮したような報告会になりました。時間があまりに足りなくて意見交換まではなかなか十分にできなかったのですが、あらためて問題意識の共有はできたのではないかと思います。その点でも有意義な検討会でした。

今後は、原則隔月開催の事件検討相談会や本部主催の労働判例休会、各労働組合との交流会などで、意見交換や検討など継続していき、各会員が実際に受けている事件や相談などに役立てられればと思います。

弁護士 早田賢史(日本労働弁護団東京支部事務局)