2.13無期転換学習会

[News] 2018/04/10

2月13日夜、日本労働弁護団東京支部主催で、「雇止めを許さず無期転換を実現する取組の交流学習会」を開催しました。労働組合の方と弁護士など合計74名もの参加者が集まり、活気に満ち溢れた学習会となりました。以下、簡単に報告します。

上田貴子弁護士の司会で開会した学習会では、まず小野山静弁護士から、労働契約法18条・無期転換ルールの制度概要について説明して頂いた後、連合非正規労働センターの杉山寿英さんから、雇止め阻止・無期転換実現に向けた連合の取組みについてご報告いただきました。

連合が実施したアンケートでは、意外にも無期転換について悲観的な見方をする方が多かった(無期転換に期待する方が少ない)という結果や労働相談ホットラインに寄せられた雇止めに関する相談の実例などを紹介して頂きました。

また、連合は、今後、無期転換の促進や無期転換後の労働条件の向上を求めていくとともに、無期転換の周知活動にも取り組むとのお話しがありました。

次にご報告いただいたのは、東京大学教職員組合執行委員長の佐々木彈さんです。東大教職員組合は、首都圏大学非常勤講師組合と協力して、大学側の「東大ルール」を理由とした大量雇止めの阻止を実現ました。佐々木さんからは、その成功体験を中心に、熱く語って頂きました。

佐々木さんのお話は非常に興味深い内容でしたが、とりわけ無期転換を回避するための雇止めの根底には、非正規に対する差別意識があるというお話は強く印象に残りました。佐々木さんは、多くの労働組合が団結して一緒にたたかうことの重要性について、熱く語られていました。

続いて、水口洋介弁護士と岸朋弘弁護士から、それぞれ自身が取り組む事件について報告がありました。水口弁護士は理化学研究所、岸弁護士は日本学生支援機構を相手として、雇止めの問題に取り組んでいます。

いずれの事件も現在、団交が継続されていますが、岸弁護士の担当する事件では、原則として雇止めはしないとの回答を得ることができたそうです。

その後の質疑応答の時間では、多くの質問が出され、活発な議論が行われました。また、労働組合や実際に雇止めを受けた方から、実体験を交えた報告もありました。最後に、日本労働弁護団東京支部長の井上幸夫弁護士から、総括的なお話がありました。

私がこの学習会で抱いた感想は、無期転換を実現していくためには、労働組合に力が必要不可欠だということです。残念ながら、現状では無期転換への期待はあまり高くないようです。雇止めの心配がない等の無期転換のメリットをできる限り多くの有期契約で働く方々に周知していく必要があります。

雇止めとのたたかいを進めるためには、法律の知識を使うことはもちろんですが、労働組合のもつ力を活用することが何よりも重要だということを改めて実感しました。

弁護士 川口智也